皆さんはプレゼンテーションの準備をする際、どんなことに注意していますか?最近では、プレゼンのハウツー本やWebメディアで、“聞き手主体のプレゼン”というテーマをよく見かけます。聞き手主体のプレゼンにすると、当然の事ながら関心が高まり、反応が良くなるため、聞き手に対する意識は効果的なプレゼンには不可欠です。しかし、展示会や記者発表など様々なプレゼンシーンにおいて、聞き手について考慮されていないことや、効果的な表現がされてない場合が多く見られます。ここでは、私たちも実践している、聞き手主体のプレゼンテーションを作成する具体的なポイントを、ステップに沿ってお伝えします。
自分が聞き手のプレゼンを思い返して
プレゼンには必ず情報を伝達する相手がいますので、相手のことを考えながら作成することが重要です。 これから紹介するステップは、どれも難しいことはありません。プレゼンター側ではなく、聞き手側だった経験を思い返し、どうしたら聞き手に分かりやすいプレゼンになるかを考えながら読んでみてください。
1|プレゼン後、聞き手にどうなってもらいたいかを考える
まず初めにやっておきたいのが、プレゼン後に「聞き手にどうなってもらいたいか」を考えることです。プレゼンの目的は、聞き手=ターゲットにプレゼン内容を理解してもらい、行動してもらうことです。
- ・展示会で不特定多数の方に商品のメリットを知ってもらい、商談につなげる
- ・採用説明会で学生に興味を持ってもらい、自社にエントリーしてもらう
- ・社内会議で上長に設備投資の必要性を理解してもらい、決裁をもらう
プレゼンシーンは人によって異なりますが、大きなゴールは全て同じ、「ターゲットに行動してもらう」です。
ゴールを設定していないプレゼンでは、何を伝えるべきか分かりませんし、プレゼンの効果を測ることもできません。まずは、プレゼン後、聞き手にどうなってもらいたいかを考えてください。
2|プレゼン前の聞き手を分析し、知識レベルを想像する
聞き手にどうなってもらいたいか、は考えやすいと思いますが、見落としがちなのは、「聞き手を分析する」ことです。
多くの場合、プレゼンの内容を、話し手より聞き手の方がよく知っているということはありません。その内容を知らない、知りたいからプレゼンを聞きにくるのです。
しかし、展示会や記者発表の場でも、スライド上の単語や表現が専門的になり、内容を理解するのが難しいプレゼンテーションを見ることがあります。特に、プレゼンする側が、その分野における専門性や知見が豊富な場合に、聞き手の視点が見落とされるケースが多くあり、知識や経験が乏しい聞き手を置いて行ってしまうのです。そのような事態を避けるため、プレゼン前の聞き手の状態、例えば、その分野に関する知識がどのくらいあるか、何に期待しているか、どんな事例が伝わりやすそうか、などを分析しておくことが重要です。
聞き手の経験がある方はよく分かると思いますが、プレゼンターと聞き手、どちらが主体になっているかは、プレゼンを聞くとよく分かります。聞き手主体の場合は、「私は○○だと思います」といった表現より、「皆さんは○○ではないでしょうか」という、聞き手を意識した表現が多く、話し方においても、聞き手を巻き込みながら進めていると思います。それは、事前に聞き手を分析しているからこそできることです。
3|聞き手に合わせて、内容や表現を検討する
聞き手のスタートとゴールの状態を意識できたら、いよいよ内容や表現方法の検討に入ります。内容については、聞き手の知識レベルが低い場合は、本論に入る前に前提となる知識や情報、考え方を伝えることが重要です。具体的にイメージが浮かぶようなシーンの説明も入れると良いでしょう。
内容がかたまったら、まずは皆さんの馴染みのある言葉や言い回しで、スライドを作ってみてください。その後、専門用語は聞き手が分かりやすい言葉に置き換え、社内独特の言い回しは社外の方にも伝わりやすい表現に変換していきましょう。聞き手を意識したプレゼン設計、構成についてはこちらで解説していますので、参考にしてみてください。
参考記事「プレゼンの構成に「起承転結」はあてはまらない?」
4|聞き手が集中力を保てる工夫を加える
ここまでのステップで、聞き手に伝わりやすい情報整理、言葉選びができました。しかし、内容が優れていてもただ話しているだけでは、始めから終わりまでずっと注意深く聞いてもらえるとは限りません。そこで、聞き手が集中し易くなる工夫を加えて、更なるプレゼン効果UPを目指すことをオススメします。以下に挙げるポイントを意識してみてください。
・1枚のスライドにかける時間は最長1分
一般的に、聞き手が飽きずに聞いていられる時間はスライド1枚あたり1分程度と言われています。スライドをテンポよく切り替えることで、聞き手の集中力を保つ効果が期待できます。
・アニメーションを活用する
人間にも、他の動物同様、動くものを目で追いかける習性があります。スライド内でも、適宜アニメーションを活用して動きをつけることで、意図している箇所に視線を集められる上、飽きられにくくなります。
・聞き手に質問する
質問することで、一方的なスピーチから聞き手とプレゼンターとの対話に変わり、心理的な距離が縮まります。冒頭にアイスブレイクやフックとして質問される方が多いですが、セクションごとに質問を挟んでもOKです。聞き手は答えようと考えを巡らせますし、自分が質問されなくても、「次は私かも」という意識が働き、集中力の維持に繋がります。
回答自体が目的ではないため、聞き手が答えられなくてもOKです。その答えがプレゼンの本論であれば、聞き手に答えを知りたいと思ってもらえます。
最後に聞き手目線でチェックを
プレゼンスライドが完成したら、聞き手目線でチェックをしましょう。プレゼンテーションに関わっていない周囲の方やプレゼン対象者に近い知人に見てもらうことで、聞き手にとって分かりやすい内容かをチェックすることができます。「この単語は通じない」「この例えは馴染みがない」など、気づけることが多いと思います。誰にもチェックを頼めないときは、声に出してスライドを確認してみてください。文字を追うだけでは気づけなかったことも、肉声で聞くことで、流れの違和感などに気づくことができます。完成!と思っても、聞き手の存在を意識しながら、時間の許す限りチェックを行ってみてください。そうすることで、伝えたいことを一方的に伝えるようなことがなくなり、聞き手に届くプレゼンテーションが実現できるはずです。